奈良市のリハビリ訪問看護&リハビリデイサービスなら株式会社ルピナス

タイトル画像:お知らせ

第4回日本訪問リハビリテーション協会学術大会in熊本(塩見和哉)

当事業所利用終了者の調査
―利用期間、疾患及び理由別を中心に―

リハビリ訪問看護ステーションルピナス
 理学療法士:塩見和哉
 看護師:松井豊晴
 理学療法士:田中仁

【はじめに】
 当事業所は開設して4年になり、現在の利用者数は301名にのぼるが、これまでに数多くの利用者が終了となっている。本来、訪問看護ステーションからのリハビリテーション(以下訪問リハ)は、利用者からの依頼で開始となり、継続することで目標を達成し終了に至ることが望ましいが現状はそうではない。今回、目標に至らず終了した利用者の疾患および理由等を明らかにし、訪問リハを継続するための一つの考察を得たので報告する。

【対象】
 当事業所の利用者の中で、2010年7月1日から2013年11月30日までの間で訪問リハを開始し、且つこの期間に利用終了に至った271名を対象に行った。対象者の主傷病名を「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)」(以下ICD-10)により、新生物、神経系疾患、循環器系疾患、呼吸器系疾患、筋骨格系および結合組織の疾患(以下筋骨格系疾患)、損傷・中毒およびその他の外因の影響(以下外因系疾患)、その他と分類した。終了理由は、①死亡、②病状悪化・入院、③その他(他サービス利用、入所、拒否、自立、転居等)に分類した。尚、この調査はヘルシンキ宣言に基づくものである。

【結果】
 対象者全体の利用終了に至るまでの期間は276±266日であった。終了理由とその平均利用期間をみると、①死亡56名(255±264日)、②病状悪化・入院119名(300±255日)、③その他96名(257±282日)と有意差はみられなかった。ICD-10による疾患別でみると、呼吸器疾患が152±135日と最も短く、次いで新生物190±241日、筋骨格系198±221日、外因系疾患237±221日、循環器系333±302日、神経系361±294日、その他274±274日であり、有意差がみられた。
その中で、利用期間が最も短い呼吸器疾患の終了理由をみると、①死亡95±104日、②病状悪化、入院172±143日、③その他237±153日であった。さらにセラピスト単独でなく看護師の訪問の有無による終了理由の状況をみると、看護師の訪問がない群では、①死亡74±101日、②病状悪化、入院160±164日、③その他158±15日であった。一方、看護師の訪問がある群では、①死亡110±113日、②病状悪化、入院203±108日、③その他289±190日と訪問がない群と比べ利用期間が延長していた。

【考察】
 利用者の在宅生活における目標を達成する為に継続した訪問リハを実施し、機能および能力の維持、向上を図りたい。結果より、呼吸器系疾患が他疾患と比べ利用期間が短い傾向がみられた。これは、呼吸器感染症や心不全等の合併からくる病状の悪化、ひいては死亡に繋がる事が考えられる。さらに結果より、看護師の訪問がある群が訪問のない群より利用期間の延長がみられた事より、看護師による訪問により病状悪化を未然に防ぐ必要性がある事が示唆された。