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第50回日本理学療法学術大会(中島文音②)

軽度認知障害者に対する訪問リハビリテーションにおける効果
副題 自主トレーニング指導で認知機能面や身体機能面が改善した1症例

リハビリ訪問看護ステーション ルピナス 中島文音、田中仁

【目的】
 訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)を週1回で実施していたが、日常生活内の活動量低下から、認知機能低下がみられた。Hyodoらは、軽度認知障害者(以下MCI)に対して、中強度運動後に高齢者の認知機能改善を報告している。今回は、MCIに対する訪問リハでの、自主トレーニング(以下自主トレ)指導による有酸素運動によって、認知、身体機能面の向上がみられるかをABAシングルケースデザインで研究した。

【症例提示】
 対象は79歳男性、脳梗塞の症例である。介入時は、FIM117点、Life-Space Assessmentレベル2、Mini-Mental State Examination(以下MMSE)20点、30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30)7.5回、Functional Reach Test20.3㎝、Timed Up and Go Test(以下TUG) 13.5秒、SF-36のPF35.0点、RP56.3点、BP100点、GH42.0点、VT50.0点、SF37.5点、RE83.3点、MH65.0点である。

【経過と考察】
 本研究は、A期間に訪問時の運動療法と毎日の自主トレによる有酸素運動(足踏み10分×2、1日に約2000歩)を実施し、B期間は運動療法のみを実施した。A1、B1、A2の15週間より、MMSEはA1期23±2.3、B1期24±1.0、A2期26.4±1.5でA2期に向上が認められた。Abbottらの軽度の運動が認知機能面の維持に有効と同様、自主トレにて認知機能面の向上が認められたと考える。TUG A1期13.4±0.7、B1期13.5±0.7、A2期12.7±0.7でA2期に向上が認められた。Williamosonらの有酸素運動が脳を刺激し、前頭野の機能を高めるということから、MMSE、歩行速度が向上したと考える。SF−36のPFは、A1期22.0±9.7、B1期23.4±0.7、A2期30.0±0.1、PTは、A1期55.0±2.8、B1期56.3、A2期61.3±5.2でA2期に向上した。堂園らの運動が高齢者の精神、心理機能を変化し、ストレス解放になるということから、運動で歩行能力が向上し、ストレス軽減され、精神面の改善に繋がったと考える。従って、今回の訪問リハでの自主トレ指導による有酸素運動は有用であったと考える。

【倫理的配慮,説明と同意】
 本研究は、対象者、家族にヘルシンキ宣言に基づいた研究の主旨の説明を行い、同意を得て進行した。研究結果を報告、説明し、第50回日本理学療法学術大会への提出に同意を得ている。